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羽毛布団の品質について(極意)

中身の羽毛について


「原産地証明書」「輸入証明書」「品質検査証」取得しているか

「○○産グース○○%で生地は○○を使用する。」という具合に
単に仕様を企画するだけであれば少しこだわっていればどこでも出来ます。


当社でも原毛を買い揃えて、生地を数種買い揃え、自分で制作するということを行っております。

出来た製品を仕入れているモノに比べたらこれでも十分に信頼できるものとなりますが

それはそもそも性善説に元ずくという前提での事に限定されます。

ここではさらに品質面を深く掘り下げ、真の良品質とはどのようなものかということに

スポットをあててお話していきたいと思います。



●実は、羽毛布団の究極の良し悪しは原毛(中身)を精製する限られた技術にあるのです。

まずは、極意から言うと制作しているのが原毛精製工場(羽毛専門かつ原料卸)かどうかということ。
そしてその設備と極めつけは洗浄に使う水の違いにあります。

多くのメーカーと呼ばれているところも、羽毛精製工場から原料を購入していたり、
海外洗浄され輸入したものを洗わずにそのまま製品にしてしまうか

洗ってもせいぜい一度の洗浄(すすぎで3回)をするだけで製品化しております。
(コストを掛けないよう最低限の洗いで精製工場に依頼している)

こうしたメーカーの多くは製品加工設備しか持っていないんです。
(当社もそうです)・(寝具業界最大手でもそうなのです)

つまり、原毛精製工場へ精製羽毛の制作を依頼するときにどのくらいのレベルまでの精製依頼をしているかということが原毛の本来の品質となってくるわけです。

わざわざそこまでを依頼しているところは実際には少なく、ほとんどは羽毛精製工場の判断に委ねられているのが現状であります。

どこの工場がどの程度の精製をしているのか?これを知ることは一般的にはかなり困難であります。


妥協することなく品質を究極的に追い求めようとすると徹底した原毛洗浄と高い撹拌技術によって精製された羽毛かどうかということに行き着いてくるのです。

それは、これまでの常識である羽毛の産地によるグレードの順列を覆してしまうような結果をもたらすことなのです。

ではその洗浄・攪拌技術とはどのようなものか?(下記で説明しています。)


●次にトレーサビリティーの有無です。

特に近年ようやく問われ始めた※羽毛布団産地偽装問題は業界の大問題と受け止めなければいけません。
※羽毛布団産地偽装問題参考記事
この問題は2016年度にメディア各社でも大きく取り上げられはしたものの、発表直後に熊本で大きな地震があり、メディアは一斉にそちらへ話題が移ってしまったために雲隠れしてしまったような状態になり、さほど知れ渡ることもなく終息してしまっております。
報道の内容は「世の中に出回っている少なくとも半数強は偽装表示であった」という今時、ちょっと信じがたいような内容なのです。
ちなみに品質ラベルを発行している日本羽毛製品共同組合のHPでもこのようなことが報告されています。羽毛ふとんの原産地表示に関する報道について 
偽装に該当する過半数は輸入品で、組合員の製品ではないものの、組合員の製品も含まれているということなのです。国内で唯一客観的組織として各製品メーカーからの賛同を得ていたような存在でありながらも
このようなことでは羽毛製品メーカー、販売店さえも信用の術を失っているということが言える境遇にあり、消費者が判断の礎とする絶対的な存在は皆無ということでもあります。


原毛を直輸入し、それを精製して製品化する。
この工程をすべて一貫して行うことで最低限のトレーサビリティーが確保できます。
「原産地証明書」・「輸入証明書」・「品質検査証」を揃えることができる
これが可能な専門工場は日本では指に足りる数しかなく当然国内トップレベル、
世界的に見てもトップレベルの設備をした工場になります。

●では何故、大手寝具メーカー(日羽協組合員)はこのことをしないのか?
全くしないわけではないと思います。
しかし大量に制作する大手にとってここまでの作業を全ての自社行うことは多大な人件費がかかり
コスト高となってしまいますので低価格競争には参加できなくなってしまうためです。
日羽協においてもそうした全ての羽毛を管理していくシステムが構築されていないのです。

もう一つは、格安原毛調達のために海外中間業者を経由したルートで輸入されるものも扱わざるえない大手にとってはその品質管理が把握されておらず、海外の中間業者段階で既にブレンドされていたりするものを知らずして使っている(認識がある場合もあるでしょう)
そうした原毛のトレーサビリティーの追求は現実的には不可能だからなのです。
 


 

世界最高基準の設備で徹底精製した羽毛と
他社一般品との原毛の違いを比較してみました

日本羽毛製品協同組合の発行するラベルを基準とした比較
 
このラベルが絶対的な信頼性があるとは言えませんが、多くの加工メーカーが使用して、
インターネット上ではこのラベルがあたかもすべてのように謳われている商品が多いので、
ひとつの目安として取り上げてみました。


 
日本羽毛製品協同組合のラベル比較
※ハンガリーやポーランドなどのいづれの産地でも上記表に当てはまるはずです。

※精製とは
「洗浄」→「乾燥」→「撹拌」をして羽毛を痛めづにきれいにして本来の機能を最大限に活きるように手を入れること。


今回はポーランド産ホワイトグース93%(通常精製法で420dp)のものとフランス産ホワイトダック90%(通常精製法で390dp)のものを徹底精製し、一般品(通常精製)とどのような差がでるのか?日羽協の基準に照らし合わせて比較をしてみました。

【ここで注視してもらいたいところ】


通常の精製ではグース93%ではロイヤルゴールドラベル(430dpまで)が最高表示となっています。
徹底精製したグース93%にはマザーグースダウンに匹敵するプレミアムゴールドラベルが付けることができます。
・日本羽毛製品共同組合の基準;ダウンパワー440dp以上
・徹底精製したホワイトグース93%はダウンパワー440dpになりました。

通常精製のダックダウンでは93%の上質なものでもエクセルゴールドラベル(390dpまで)が最高表示となっています。
徹底精製した羽毛(ダック90%)にはグースダウン93%に匹敵するロイヤルゴールドラベルが付けられます。

・日本羽毛製品共同組合の基準(ロイヤルゴールドラベル);ダウンパワー400dp以上
・徹底精製したホワイトダック90%はダウンパワー400dpになりました。

まとめ
産地に関わらず、場合によってはグースとダックにも関わらずダウンパワーは精製仕方によって作ることができてしまうということです。つまり、逆に考えれば、産地さえ良ければいいという常識は考え方として間違ってはいませんが、まだまだ偽装を疑う余地が残っていて、判断として浅く、産地ばかりに囚われていては正しい品質の判断にはならないということが言えるのです。

では、なぜこのような羽毛になるのか?(羽毛の精製方法)

原毛ストック


 
混ざりもののないパッキング別に管理された原毛ストック。

まずは、直輸入業者だからこそできる輸入ルート上の把握管理が徹底されていること、混入履歴を作っていない羽毛であることが大前提となります。

現地→輸出入→国内すべての流通過程を管理把握できており、いつでも各種証明書の発行が可能かどうか。
 

1.秘密は洗浄方法の違いにあります

羽毛を精製する過程で最も品質を左右することは洗浄です

日本羽毛製品協同組合で設けられている透視度基準はランク3です。
対して当社で精製依頼したものはランク5まできれいにしてもらう依頼をしております。
 
羽毛洗浄透過率基準表


 
羽毛洗浄透過性基準ランク

2.攪拌・選別


洗浄した羽毛の仕上は世界最大級の選別機で
ダウンボールの大きさを徹底選別していきます



この工程では温風で羽毛を乾燥させながらしっかりと開かせ、ダウンボールの大きさ毎に選別していきます。

選別機の大きさは建物で言うと4階建の高さ
奥行は30Mくらいあるものです。
大きければ大きいほど正確な選別ができます
羽毛製造工場1


 

布団の生地について

「どうせカバーをかけて使うのだから生地なんてなんでもいいよ」と考えがちでありますが、生地によって「寝返り時の音の問題」・「フィット性」・「重さ」・「保温力」・「ムレ感」などに大きな着心地の違いがでます。
場合によっては中身のグレードを下げても生地のグレードを上げたほうが着心地が良いという事にもなるくらい重要な役割をしていますので、慎重に選ばなければ中身ばかりが良くてもその効果は台無しになってしまいます。

羽毛布団の生地は綿100%が基本であったが


羽毛布団の生地はこれまでは綿100%のものが基本でしたが、最近ではテンセルやリヨセルといった半天然繊維のような生地も出てきました、またコストを抑えるためポリエステルなどの化学繊維を織り込んだ生地も目立つようになってきました。
羽毛布団に使われる生地は通常の生地よりも高密度に作られている為、ただでさえ蒸れやすいという問題がありますので吸湿性のある天然素材であることが必要不可欠ということがまず言えます。
羽毛布団にとって生地の重さは約半分~2/3を占めます。ゆえに使用生地によっては総重量が大きく違ってきます。また、ドレープ性の高いもの(柔らかい)ほど寝返り時の ガサガサ という音も少なくなり、 体へのフィット性があがる為、保温力も高まります。
同じ中綿を使っても生地により大きく使用感が変わりますので生地選びも大変重要になります。
( ちなみに柄は、お値段にはほとんど関係有りません )

 

1.生地の品質は 糸の太さ と 織り方 で決まります。

糸の番手 (糸の太さ)は数値の大きいものほど細くて質の良い超長繊維綿を使っています。
超長繊維綿を使うと軽量で薄く柔らかい風合いの生地となります。
同じ素材でも糸が細いものほど価格は高くなります。
 
羽毛布団に使われる生地糸番手

2.生地の織り方による違いとは?

糸の番手 (糸の太さ)は数値の大きいものほど細くて質の良い超長繊維綿を使っています。
超長繊維綿を使うと軽量で薄く柔らかい風合いの生地となります。
 
①ブロード ( 平織 ) ・・・・・たて糸とよこ糸が1本づつ交互に組み合わされた織物です。たて・よこの糸の組み合った数が多いので地合いがしっかりしています。番手の太い糸で 組織されると生地目が広がりやすく吹き出し ( もれ ) の原因になりやすい
②ツイル( 綾織) ・・・・・布地に斜めのうねが見える組織。組織点が右肩か左肩上りに斜めに続いているのでうねに見 えます。表にたて糸が多く出たものを経綾(たてあや)よこ糸が多く出たものを緯綾(よこあや)といいます。
③サテン(朱子織) ・・・・・糸をできるだけ長く平行にして布地の表に織り出したものです。糸の組み合ったところを少なく、織物としての形を保てる範囲で最小限にします。こうすると布地の表面が鏡のようなよい艶が出ます。

 
平織りは、通気性は良いのですが、羽毛が噴出しやすいというデメリットがあります。
そのため余程状態の良い中身を使用しないと細かな羽が吹き出してしまいます。
ツイル織りは平織りに比べて生地目が開きにくくなり羽毛の噴出しの心配は改善されますが、生地に硬さが出てきます。
サテン織りは見た目も美しい光沢感が出て、細番手の糸であれば生地目もずれにくくしなやかな生地となります。
日本では、羽毛の噴出しの問題が最も重要視されるため、ツイルやサテン織りが主流で
さらに糸の太いものはダウンプルーフ加工といって生地目を潰す加工までされるものが多いです。
サテン織りやツイル織りは少々羽毛の精製が悪くても問題を出しにくいという事にもなっています。
諸外国の羽毛布団では噴出しの問題よりも生地のしなやかさや通気性を重要視して、
細番手の平織り生地で作られるものも多いようです。


《生地についてまとめ》

素材は綿100%が基本で糸はなるべく細く平織りサテン織り、しなやかなで軽い生地ほど良い。
このようなポイントを踏まえて選ぶと羽毛布団の良さを十分に味わえるものとなります。


 

羽毛布団について杉屋へコンタクト


 

((((( わたしのしごと )))))

国内外の工場や産元に直接出向き、自身が納得のいく
商品を集めているうちに、様々な学びがありました。
そうして養われたバイヤーとしての能力には自信があります。
羽毛布団に関しても例外ではなく、自社製に使う原料、メーカーより仕入れる製品も全て私の目を通したものです。

非常に不透明な羽毛ふとん業界ですが、自信の洞察力で厳選された信頼価値ある商品づくりが私の仕事として自負しております。寝具選びにお困りでしたら全てお任せ下さい。

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羽毛の原毛は産地やかさ高・ダウンパワー・ダウン率などのスペック表示だけを鵜呑みにして決めるのではなく、やはり実際に出来上がった商品を見てみなければわかりません。
検査機関においても全てを検査する訳にもいかないですし、検査に出す側の秩序に委ねていることがあります。
ですから正確性を保証できるものではなく、あくまで目安に過ぎないものであるという認識を持っていたほうがいいように思っております。

要するに携わるそれぞれの会社でどれだけ責任を持って仕事をするかということだと思います。
最終的には売り手側と買い手側の信頼関係ということに行き着いてしまうことですが、これがこの業界における現実となっております。