緞子
[カテゴリ] お客様納品例(ベッド等)
[更新日] 2010/7/3
先日お客様依頼でお仕立てした緞子布団。おばあちゃんが押入れに大切に保管していたものが押入れを整理して出てきたので布団にしてほしいという事でした。私も久しぶりに目にして懐かしく思いパチリッ!最後に見たのも20年くらい前になります。20年くらい前までは辛うじて一部の地域で御婚礼布団として昔の風習が残っていました。羽毛ふとんが流行するまでは主流の婚礼品で、昔は自分が普段使う布団よりお客様用の緞子布団や座布団に予算を費やしていました。今では考えられないような風習となってしまいましたね。緞子生地は着物や帯なんかにも使われる高級品です。今でも売るとすれば、シングルの敷ふとんで5~6万円にはなるでしょう。最も生産されているかも問題ですし、1枚分を別注したらそんなもんじゃ済まないと思います。箱には甲州織りと書いてありますので山梨県で織られたものだと思います。コレもやはり2対組ふとんのセットだったはずですが、何故、敷ふとん1枚分だけ残されていたのか不思議です。私が推定するにはおそらく30~40年くらい前のものだと思いますが少しだけシミが出ているものの正絹生地は傷んではいませんので十分使えそうです。現代の布団の良いところも沢山ありますが、素材的にはこの頃の方がよほど贅沢な物を使用していましたし、皆がこれを婚礼道具として持っていったと思うと今より何倍も寝具に対する価値観が高かった事を思わされます。